2026年04月08日

マーシャル諸島共和国とフィジーにおける子宮頸がん撲滅プログラムの支援

2025年活動報告

グローバルヘルス

中外製薬は、フィジーとマーシャル諸島共和国における女性の健康にとって大きな脅威の一つである子宮頸がんを撲滅するために国連人口基金(UNFPA)大洋州サブ地域事務所とフィジーとマーシャル諸島共和国の保健省が提携し実施している包括的プログラム対し支援金を通じた活動の支援を行っています。

  • 背景
    子宮頸がんは、太平洋島嶼国・地域(Pacific Island Countries and Territories:PICT)において、女性のがん関連死亡原因の第2位を占めています。同地域では、体系的かつ持続可能な子宮頸がん検診プログラムが十分に整備されていないことから、進行期での診断が依然として多い状況にあります。特に、メラネシア(フィジーを含む)およびミクロネシア(マーシャル諸島共和国を含む)では疾病負担が著しく、発症率は女性10万人当たり年間10.8件とされる世界平均を大きく上回っており、メラネシアでは28.3件、ミクロネシアでは18.7件に達しています。この高い発症率は、公衆衛生サービスへのアクセスの不足、HPV ワクチン接種率の低さ、加えて臨床管理体制の不十分さによって一層深刻化しています。
    子宮頸がんの約99%がヒトパピローマウイルス(HPV)感染に起因することを踏まえると、子宮頸がんの撲滅を達成するためには、ワクチン接種の継続的な推進、HPV感染に対する適時かつ適切な治療と高精度な検診手法の導入・活用に重点的に取り組む必要があり、中外製薬は継続して支援を行っています。
  • 結果
    本プログラムは、2024年に引き続き「検査と治療」モデルを中核に据え、高性能なHPV検査を活用した子宮頸部前がん病変および早期がんの早期発見を優先事項としています。
    「必要な医療資機材の調達および配布」、「医療従事者の能力強化」と「地域社会における幅広い啓発・参画促進」という三本柱のアプローチは、2025年の支援においても行動の基本的枠組みとして維持されました。
    マーシャル諸島共和国およびフィジーの主な成果は以下のとおりです。
  • マーシャル諸島共和国における主な成果:
    2025年はオーストラリアの民間慈善団体がマーシャル諸島政府に対し、当社は、子宮頸がんHPV検査・治療プログラムの展開のための専用資金を提供し、UNFPAおよびその他のパートナーが技術支援を提供しました。
  • フィジーにおける主な成果:
  1. 医療資機材の調達および引渡し
    中外製薬は、UNFPAが2025年に全国規模で「検査と治療」プログラムを展開するために必要なHPV検査キットおよび関連医療資機材を調達するための資金を提供しました。
    2025年6月13日、子宮頸がんHPV検査キットおよび必須医療資材及び機材のフィジー保健省への公式引渡し式が実施されました。
    引き渡し式にて、フィジー保健省ラトゥ・アトニオ・ラビシ・ララバラヴ大臣は、「これらの検査キットが、子宮頸部前がん病変の早期発見および適切な治療を通じて、子宮頸がん撲滅に向けた国家的な取り組みを強化する上で極めて重要である」と強調しました。

  2. 「検査と治療」プログラムの全国展開の開始
    1) HPVマスター・トレーニングおよび臨床実習の実施(北部地区)
    HPVスクリーニング・治療プログラムの実施は、2025年7月28日から8月1日、北部地区の4つのエリア全てを対象に、ラバサ町でマスター・トレーニング・プログラムを実施したことから始まりました。
    この5日間の集中臨床コースでは、看護師、助産師、検査技師、医務官を含む56名の医療従事者が研修を受けました。これに続き、2025年8月4日から8日まで、ラバサとサブサブに新設された「HPVスクリーニングと治療クリニック」において、専門家の監督下での臨床実習が実施されました。この体系的な1週間の臨床監督により、看護師と助産師は担当クリニックとアウトリーチ活動を自立して運営する能力を効果的に身につけました。この間、合計418人の女性がスクリーニングと治療を受けました。スクリーニングを受けた女性全体のうち、351人が陰性、64人が前がん病変の検査で陽性と判定されました。「検査と治療」モデルに基づき、対象者のうち合計51人がこの週に熱凝固療法を受けました。これは、新設されたクリニックと訓練を受けたスタッフが、質の高いスクリーニングと治療サービスを効果的に提供したことを裏付けています。

    2) 北部地区における啓発キャンペーン
    2025年10月22日、フィジー保健省は、UNFPA大洋州サブ地域事務所の支援を受け、ランバサにて効果的な啓発プログラムを開催しました。「早期発見は命を救う」をテーマにしたこのイベントは、ナバラ中学校のバンド、フィジー警察、そして様々な地域関係者が率いる活気あふれる行進で幕を開けました。このキャンペーンは、子宮頸がんとメンタルヘルスに関する専門家の講演を中心に、約1,200人を対象に実施されました。
    HPV自己検査・治療プログラムの啓発に重点が置かれ、参加者は対話型の質疑応答セッションを通じて、予防医療への理解を深めることができました。

    3) 北部地区へのプログラムの展開
    包括的な研修と臨床準備、そして啓発キャンペーンの成功を受け、HPVスクリーニング・治療プログラムは、北部地区のマクアタ地区(スクリーニング受診者:1,688名、陰性:1,466名、陽性:242名)、サブサブ地区(スクリーニング受診者:931名、うち陰性:808名、陽性:108名、診断結果待ち:18名)及びタベウニ地区(スクリーニング受診者:336名、うち陰性:289名、陽性:42名、診断結果待ち:5名)にて実施されています。特筆すべき点は、これらの全ての地区において結果が確定していない、または検体不良となった症例の報告がなかった点です。今後、フィジー北部地区最後のブア地区では、2026年初頭にスクリーニングサービスを開始する予定です。

写真1

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写真: UNFPA大洋州サブ地域事務所 提供
写真1: 2025年6月13日 HPV検査キット引き渡し式の様子
   (左:ラトゥ・アトニオ・ラビチ・ララバラヴフィジー保健大臣, 右:UNFPA大洋州サブ地域事務所所長ビディシャ・ピライ)
写真2: 地域住民と保健当局は、ラバサでHPV検査・治療プログラムを訴え、「早期発見が命を救う」ことを啓発するためにパレードをする様子
写真3: 北部地区の医療従事者が、臨床実習セッション中にGeneXpertシステムを使用して子宮頸部検体の処理を訓練する様子
写真4: フィジー北部地区の患者が、HPV検査および治療プログラムの展開の一環として、訓練を受けた医療従事者から専門的なケアを受けている様子

 

参照
The Global Cancer Observatory https://gco.iarc.fr/en
マーシャル諸島共和国とフィジーにおける子宮頸がん撲滅プログラムの支援 2024年 活動報告 (2025年03月27日)